仙太郎窯 岐阜県 多治見市 市之倉 美濃焼(志野 織部 黄瀬戸)を手がける 陶芸家 安藤日出武 安藤工 の窯元

仙太郎窯

作家のご紹介

安藤工

  • こだわりの作品を教えて下さい。
  • 作品名:悠久「第43回日展特選」
    長年出品しつづけ、23年目にして特選を受賞できた思い入れのある作品なんです。
  • 技法の特徴はなんですか。
  • でびねりで成形しているところです。また鋭い刃物でたたきながら細かいマチエールを作っています。伝統的な鉄釉を使って本焼成し、金彩銀彩で雅の世界を表現した作品です。
安藤工の作品写真

陶歴

  • (公社)日展 会員
  • (公社)美濃陶芸協会 常任理事
  • (一社)工芸美術日工会理事
  • CBCクラブ会員
安藤工
2017(公社)日展会員に推挙される
第3回 美濃陶磁育成 智子賞 受賞
2016岐阜県伝統文化継承功績者顕彰
第22回 美濃茶盌展 金賞受賞
ジェイアール名古屋高島屋 個展
改組 新 第3回 日展  審査員に就任
2014改組 新 第1回 日展  無鑑査出品
第21回 美濃陶芸庄六賞茶盌展 銅賞受賞
名古屋松坂屋本店 個展
2013第45回日展 特選受賞
第23回 日工会展 内閣総理大臣賞受賞
下呂水明館 個展
2012第44回日展 無鑑査出品
東京・日本橋三越本店 個展
美濃陶芸永年保存作品に日展出品作「悠久」が指定される
第30回卓男賞 受賞
多治見市顕彰
2011第21回日工会展CBC賞受賞
第43回日展 特選受賞
第18回美濃陶芸庄六賞茶盌展 銅賞受賞
名古屋松坂屋本店
個展
2010第42回日展東海展 中日賞受賞
 
2009名古屋JR高島屋 個展
第36回美濃陶芸展 大賞受賞
2008第18回日工会展 会員賞受賞
東京・日本橋三越本店 個展
2007札幌 丸井今井 個展
岐阜 若山長江洞 個展
2006名古屋松坂屋本店 個展
2005第37回日展名古屋展 愛知万博賞受賞
美濃陶芸庄六賞茶碗展 秀作賞受賞以後4回受賞
東京・日本橋三越本店 個展
2004第14回日工会展 会員賞受賞
2003名古屋松坂屋本店 個展
2002美濃陶芸作品永年保存作品に「灰釉彩文器」が指定され、岐阜県陶磁資料館に収蔵
東京・日本橋三越本店 個展
岐阜高島屋 個展
2001第11回日工会展 会員賞受賞
2000「日本と遊ぶ」古川美術館 出品   名古屋松坂屋本店 個展
1999「東海の陶芸」出品
東京三越本店 個展
1996大阪高島屋本店 個展
東京三越本店 個展
1995市政記者クラブ賞 受賞 朝日陶芸展'95 入選
1994美濃陶芸展 中日奨励賞受賞以後5回入賞
1993第3回陶芸ビエンナーレ'93 入選
1992第2回日工会展 新人賞受賞
1991第1回日工会展入選 以後数回入選
朝日陶芸展'91 入選
第23回日展 初入選以後17回入選
1990朝日陶芸展'90 入選

作家インタビュー

陶芸家 安藤工さんの歩み

このような数々のすばらしい陶歴をもつ工さんですが、どのようにしてそこに至ったのでしょうか。陶芸家を志したきっかけを教えて下さい。

私、元々窯元の四代目ですが、当初は陶芸家を志していませんでした。窯元の跡取りとして焼き物をやろうと思ったのですが、陶芸の世界に入るという意識はあまりなかったんです。

1.日展との出会い

高校生の時、初めて愛知県の美術館で日展を見に行ったんです。そこにあった作品が、自分の思っていた焼き物の概念を覆しました。 焼き物の可能性や、芸術性に感銘を受けて、こういう作品をつくってみたいと日展の先生へ師事したのがきっかけなんです。

2.美濃焼の伝統へ傾倒ー転機

6年間瀬戸で修業したんだけど、でも6年目で体を壊しちゃったんです。仕事ができない。それで修業先から帰って来て、ぶらぶらしていると、父(日出武さん)をたまたま訪ねてみえた陶芸家の加藤孝造先生(人間国宝)から誘われて、カンボジア旅行に一緒に行くことになったんです。旅行中、同じ部屋で数日間一緒に寝泊まりすることになったんですけど、ある時「美濃の窯元に生まれて、美濃の焼き物を追求して、継いで、次に伝えていくことも一つの使命だよ」と先生から言われた。これは衝撃でした。。それまで全く違った焼き物を勉強していた、現代陶芸というか。。。その時から志野や織部といった美濃桃山陶、そういったものも作品の一つとして一生かけて追求していくものなんだなと感じるきっかけになった。それ以来、美濃の焼き物を見直して勉強するようになっていくんです。

3.自らの表現への到達ー原点への回帰

今の作品も、金彩銀彩などを使用していますが、基本的なベースは美濃の土を使って美濃の伝統的な釉薬を使って焼き物を作りたい、というのが原点にあるんです。

ありがとうございました。日展との出会いや加藤孝造先生との出会いが現在の安藤工さんの作品づくりに大きく影響したんですね。

何時も身の回りから刺激を受けることが大切

作品を生み出すもの

陶芸家というと私たちはとっつきにくいんじゃないかと身構えてしまいがちですが、敢えて聞いてきました。普段の生活はどのようなんでしょうか。どのように作品のきっかけが生まれてくるんでしょうか。

いつも一日の中で焼き物のことしか考えていないんですけど、環境を閉ざすのではなく、でも身の回りのものから何時も刺激を受けていることが大切なんです。花とか土とか。。。例えば建築物ようなもの。普段の生活の中で吸収することは沢山あって、工房にいるときはものを作っているとき。メリハリをつけています。ただそれ以外に、土を山から掘ってきて自分で生成して使えるようにしたり、釉薬の灰を毎朝作れる準備をしたり、窯を焚くときは薪を割ったり。。。そういう地道な作業の繰り返しが大切なんです。

目指す色、焼くことの難しさとの闘い

穴窯へのこだわり

古来からの穴窯にこだわって作品を作り続けている工さんですが、そこにはなにか理由があるのでしょうか。

安藤工 穴窯の写真穴窯は昔からある窯です。山の斜面を掘って、そこに部屋を作って土をかぶせただけなんです。
非常に単純な窯なんです、構造的には。ただ、焼くことの難しさがあるんです。単純だからこそ、効率が悪いんです。
だから現代に残っていない窯なんです。美濃焼が始まって穴窯というものがあって、穴窯が進化して登り窯になって、登り窯が進化して石炭窯から重油窯になって、そして現代のガス窯、電気窯という流れで。。。
ものすごく効率が悪いから、窯の中がうまく焼けなくって。。。ムラはあるし。。。

しかし、それでもなぜそこにこだわるのか?志野や黄瀬戸というものに取り組んでいるんだけれども、なぜ穴窯で焼くか?
志野は桃山時代に生まれた芸術なんだけれども、現代にも息づいている。当時の焼き方と同じ窯を使って焼いているんです。
。 志野は除冷する時、つまり窯を焚き上げた後、窯の中は自然に冷めてくるでしょう。その冷めている時、志野特有の緋色の発色を起こすんです。穴窯がなぜいいのかっていうと、山の斜面を掘って窯を築いている、だから半地下というか。。。地下に埋まっている。つまり、冷めが遅いということだよね。地上にあるより埋まっている方が冷めないんです。
だから穴窯を使った方が自分の目指す色になるんです。ガス窯では表現できないんです。

目指す色を出すために辿りついたのが穴窯だったんですね。

時代に合った作品づくり

仙太郎窯として

現在、一人の陶芸作家としての活動の他、仙太郎窯の継承者として窯の代表としても精力的に活動されております。
工さんが継承者としてこれまでの仙太郎窯を振り返ってみて、またこれからの取り組みなどをお聞きしました。

美濃の窯としてやってきたのは、父の安藤日出武であってそれまでは磁器の窯元だったんです。時代時代で変化してきているんです。仙太郎窯の伝統というか、美濃焼というものは原点にあって忘れてはいけないものなんですけど、やはり10年20年前の生活と比べると皆さんの環境も変わってきている。ダーウィンの理論でないけれども、色々な環境に適応していかなくちゃ生き残っていけないと思っているんで、現代のものに合った作品作り、商品作りというものをしていかなくてはいけないと思っています。
解りやすく言うと、例えば桃山時代の志野の茶碗というと非常に大ぶりで大きいわけです。なぜ大きかったのかというと当時は武士のたしなみというと茶道、男性がやってた茶道文化という世界があった。でも現代を見てみると、男性より圧倒的に女性が茶道を習っている。そう考えてみると、男性より手が小さいと当然茶碗も小さくならなくてはならない。
「桃山時代は、大きいからこういうもんだ」ではなくて、同じ志野でも環境にあったものを作っていかなくてはならないんです。
花生でもなんでもそう思います。昔は床の間があって、座敷があって。。。でも今は小さな家だったり。環境が大きく変わっているでしょう。洋風の家が圧倒的に多い。でも洋の間でも使えるものを考える。そういう適応したこと。そういうことを仙太郎窯は追求していく。でも原点は、美濃桃山陶の焼き物を追求していくことに変わりないんです。

希少な作品としての価値の追求

お値段の理由

ありがとうございました。美濃焼の伝統を踏襲しつつも、環境に適応し常に使い手を考えながら、独自の美しさやそこに新しさを感じられるような表現の追求。。。素晴らしいです。工さんの人柄や作品への想いを聞いて、仙太郎窯の作品をますます好きになりました。でも工さんの作品、ちょっと高いんですよね。。。

穴窯で焼成しているということで、年に2回から3回しか頑張っても焚けないんですよね。一回に一窯6昼夜焼くんですけど、1束という赤松の束を一窯で、1500束くらい使うんです。また次、窯焚くときは1500束必要になるんです。乾かしてということをしてると、年間2回から3回しか焚けないんです。しかも穴窯だと作品が200点も入らない。大きいものだと100点も入らない。つまり数が焼けないということが一つ。沢山焼いても世に出す作品は吟味しているです。1割くらいのもんです。そのくらいしか作品出さないんだよね。
それくらい吟味しているということで、値段が高くなっているんだと思います。

使えば使うほど良くなるのが本物の焼き物

おすすめの作品を教えて下さい。

おすすめ。。。全てです(笑)うちは和食器だから、あまり飽きはこないと思います。志野や織部なんだけど、本物の良い焼き物だなと思うのは、窯から出てきたものは新品だし、良いに決まっている。でも毎日毎日使えば使うほど良くなっていくものが本物の焼き物だと思うんだよね。

地域のまちづくりのために

最後に4月5日に多治見市本町にオープンするアートギャラリー仙太郎について教えてください。

自分や仙太郎窯の作品だけではなくて、これからは若い作家さんたちにも陶芸にかかわらず工芸というものを展示する機会を提供したいと思っています。より多くの人に作品を飾ってみてもらえるような場所にしたい。多治見の中心となる本町がまちづくりの拠点になって、多くの人に県外からも来ていただける一つのポイントになればいいなぁと思います。地域の素晴らしい作家さんが沢山いるんで、そういう方を紹介できるような場所にしたいなぁと思っています。

本町のギャラリー楽しみですよね。是非寄ってみたいと思います。
お忙しい中、お時間いただきましてありがとうございました。